他校生の君に贈りたい言葉。

えぇ!?

なぜに男っ?

あたし、さっきまで何してたっけ?

手をガシリと握られ、手や足を触られ…何この状態!

あたしの頭はパニックに陥っていた。

「有空ちゃん!俺にしない?」

「いやいや、俺だろ!?」

知らないよ!

空流、空流っ!

「そ、空流っ」

涙がジワジワと浮かんでくる。

「有空っ!」

名前を呼ばれて振り返ろうとしたら、ぎゅっと抱きしめられていた。

あたしはすぐに空流だと分かった。

「悪いけど、有空に手ぇ出した奴…今度から許さないから…」

ーードキッ

空流のいつもの声よりとてつもなく低い声が響いた。

…今、あたしすっごくドキドキしてる?

空流を見ると余計にドキドキする。

何これ…。

もしかして…。

「先生、今日体調不良なので、早退します」

「オッケー」

そんな軽くオッケー出していいのっ!?

空流は抱きしめていたのを解いて、鞄を持って、教室を出る。

あたしは先生やクラスの人に頭を下げて教室をでた。

あたし、空流が好きだ。

空流が好きでどうしようもないんだ。

そう思ったと同時に目から溢れんばかりの涙が出た。

好きだよ。

大好きだよ。

途中で空流はあたしの手を握って校門にでた。

空流は深いため息。

「有空、だいじょ…え?」

あたしが泣いてることに気付かなかった空流は焦っている。

空流は必死に首を傾げて考えている。

「有空っ?…お、俺なんかした?」

違うよ。

フルフルッと横に振る。

あたしは空流の顔を見てから、空流の制服の裾を握った。

…今日のあたし、変だ。

好きって意識してから、空流のことばっかり…。

「…ホント、どうかした?」

心配なのか再度聴かれる。

「…なんでもない」

あたしはフイッと視線を空流から外した。

「有空、送るよ」

…え?

何でよ。

空流一人になっちゃうじゃん?

「嫌だ…」

「へっ?」

離れたくないよ。

「嫌だ」

あたしは不機嫌丸出し…。
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