紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~


「チッ、相変わらずつれないねぇー。綾香ちゃんは」


「鏡夜はホンと、冗談で言ってるんだか本気で言ってるんだかさっぱり分からないよ」


「………綾香ちゃん、それ本気で言ってんの?」




突然、鏡夜の私を見る目が真剣になる。


そして少しばかの黒いオーラが鏡夜から発せられ、少々ビクついてしまった。





「鏡夜?」


「綾香ちゃ『鏡夜殿、早く仕事を終わらせないと授業には出られませんよ』」



鏡夜の言葉をさえぎって言葉を紡ぐこの男、森里章吾は私を見つけると丁寧に頭を下げてきた。




「綾香殿、おはようございます」


「章吾、おはよう。今日も生徒会は忙しそうだね」


「そうですね。もうすぐ文化祭も始まりますし、今はその下準備に追われているところです」



そう言った章吾は珍しくうんざりとした顔をしながら話すが、すぐに私に笑顔を投げかけてくれた。




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