紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~
「もう行ってしまうのですか?学園まで一緒に行きませんか?」
「ゴメンね。私、あんまり騒がれるの苦手なのよ」
「そ、そうでしたよね。すみません」
ションボリとした顔をする次郎丸には申し訳ないな…、とは思っている。
でもやっぱり私は、一人で行動したいのだ。
次郎丸と親衛隊達に心の中でもう一度ゴメンと謝り、目の前の特別棟二階の開いている窓へと飛び込んだ。
「じゃねッ!」
「「「綾香様~ッ!!!」」」
窓から特別棟の中に入るとそこは赤い絨毯の敷き詰められた、少し広めな廊下に出た。
この学園全ての廊下に敷き詰められているこの赤い絨毯は、いつ見ても無駄金を使っている内の一つだと思う。
思わずため息一つ、ついてしまった。
ま、いいや。
すぐに気持ちを切り替え、靴を脱ぐ。
靴を手に取り、歩を進めた。
目的地は自分の教室である1-S。
そこへ向かうには、一度この特別棟を出なければならない。
…あ、違う。
その前に上履きへ、履き替えなくちゃ。
窓から入らないで素直に昇降口に行けば良かったかな?
少し肩を落とし、それからまた歩き出す。
歩くたびに聞こえてくるのは、制服の擦れる音だけ---