紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~


「綾香、おはよう。今日も賑やかですね」


私に声をかけてきたのは、あいかわず王子様の微笑みで周りを魅了する時政先輩だった。




しかしその微笑みは私の前限定で他の人の前では氷の副会長と呼ばれる程、無表情らしい。


先輩のかけているリムレスフレームの眼鏡が、更にそれを助長する。



サラサラと黒い髪を靡かせるこの男は、氷見 時政。


この学園で、生徒会副会長をしている。



そしてチーム名、焔龍。


二つ名は、時雨。



ちなみに夏休み前まであった長い髪の毛は、夏休み明けと同時にバッサリ切ってしまった。


短髪よりは若干長いけれど、それでもかなり短くなった事で周囲の者達を驚かせた。



髪の長かった時政先輩は中性的でとても素敵だったけど、以前より短髪になった事で男前度がアップし女性ファンが急上昇したとか…。




うん、それはよく分かる---




以前の髪形の時よりも、男の色香が格段とアップした感じがするから…。



と、いけないいけない---



先輩に、挨拶を返さなくては…。


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