紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~
「おはようございます、時政先輩。朝から生徒会のお仕事、お疲れ様です」
ニッコリ微笑むと時政先輩が一瞬、私から視線を逸らした。
へ?
なんで顔を逸らしたんだろう?
不思議に思っているとゆっくりと視線を戻した時政先輩は、テレたように私に微笑んでくる。
顔が赤い---
「………?」
よく分からなくて、首を傾げてしまった。
そんな私を見て、更に顔を赤くする時政先輩がやっぱり分からない。
私が今、何を思っているのか、頭の良い先輩はすぐに分かったのだろう。
プッと笑った先輩はその後、甘い美貌で蕩ける程の微笑を私に向けてくれた。
そんな時政先輩に、見惚れていると…。
「何、綾香。もう浮気?」
「へっ?」
いきなり声をかけられ、ビクッと肩が跳ねた。
いつの間に登場したのか芹沢鏡夜が時政先輩の肩に腕を乗せながら、ニヤリと口元に笑みを浮かべこちらを見ていた。
むかつくことこの上ない程のかっこよさを振りまきながら、相変わらずエロい笑みを浮かべている。
そんな鏡夜を、睨みつけながら頬を膨らませた。