STORMILY
「あ、はい」


「じゃ、これからもちょくちょく会えるな」


先生はニコッと微笑んだ。


「確かにデメリットもあるだろうけど、この解放感の前には大した問題じゃないよ。俺、ここがすごく気に入っちまった」


その言葉を裏付けるかのように、先生は顔を上げ、視線を遠くに向けながら、気持ち良さそうに深呼吸をした。


「…他の先生方との付き合いもあるから毎日は無理かもしれないけど、俺も来られる日はここに来る事にするよ」


そこで先生は再び私に視線を合わせる。


「良いよな?俺もここの常連になって」


「え?あ、は、はい」


…て言うか、私がそれを拒否する権利なんか無いし…。


「んじゃ、今日の所はこの辺で」


言いながら、先生はサンドイッチの包装紙やペットボトル等を、自分の体の右側に置いておいたビニール袋に手早く詰め込み始めた。


「『学校のセンセー』はやる事目白押しで超多忙なんだよ。昼休みだからって、のんびりしてる訳にはいかなくて」


苦笑しながらそう愚痴をこぼすと、先生は勢い良く立ち上がる。


「次に会った時はもうちょっとゆっくり語り合おうな。それじゃ、また」


一人きりになれる事に心底ホッとしながら、私は足早に歩き出す先生の後ろ姿を見送った。
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