TSUBASA
あたし、本当にあそこから逃げ出したんだ。


今になって、実感が沸いて来る。


そして車は、ショッピングモールの駐車場で止まった。


先に下りた玲の後に、あたしも続く。


「買い物が済んだら、連絡するね」


玲の言葉に、運転手の男が頭を下げた。


それを見て、玲はまた歩き出す。


ショッピングモールなんて、ホント何年ぶりだろう、、、


大きなショッピングモールの中に入り、あたしはキョロキョロと辺りを見渡す。


「葵ちゃんは、普段どんなとこで洋服とか買うの?」


玲からしてみたら、当たり前のことを聞いてきているのだろう。


でも、あたしにそんな質問をされても困る。


だって、あたしは渡された服を着ているだけなのだから、、、

< 36 / 165 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop