TSUBASA
「お前は俺が言ったことの意味、なんもわかってねぇんだな」


冬樹は上着のポケットから煙草を取り出し、吸い始める。


冬樹が、あたしに言ったことの意味、、、


「俺はお前の「翼になってやる」って言っただろ。もう、忘れたのかよ」


あたしの、、、翼。


「お前が飛ぶために金が必要なら、その金くらい俺が用意してやる」


どうして、こんなあたしのことを見捨てないの?


「けど、お前が諦めて落ちていくことを望んでも、俺は黙ってお前が落ちていくところを見届けるつもりはねぇよ」

「、、、と、、ぅ樹」

「わかった、か。わかったなら、帰るぞ」


冬樹は先ほど振りほどかれた手を握り締め、歩き出す。


その温もりが、あたしにはとても心地よかった。


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