君恋ふる
act.4
教えて欲しかったのは、
私が知りたかったのは、
アンタの気持ちだったんだよ。
「おっはよー、リッキー!」
「お、マミ!はよー!」
「ねーねー、知ってる?アレ、新刊出てんだよっ!しかも外伝!」
「知ってるに決まってんだろ!発売当日に入手したっつのー」
「うっそ?知ってたなら教えて欲しかったし!」
「なに、お前知らなかったわけ?ファン失格だな~」
「うっ。だってだって、公式サイトにはそんな予告なかったじゃん!」
「ちっちっち、甘ェな。ブログではこっそり予告してあったんだよ」
「くうぅぅぅ!!悔しいっ!!見逃したぁ~~~」
「ファン歴7年舐めんなよ?」
「あ、あたしだって5年だし!」
「って言って俺から教えてもらってからのくせに」
「くっ…!!」
あたし、マミと。
こいつ、リッキーは。
いわゆる腐れ縁ってやつである。
小学校の頃からよくつるんでる友達。
今ではあまり一緒に遊びに行く事はなくなったが、それでもよく話したりする仲。
「あ、そうだ!今度ナツキ達とボーリング行こーって話してるんだけど、リッキー達も行かない?」
「おぉ!行く行く!いつだよ?」
「リッキー達の都合聞いてから決めるつもりだったけど、来週の日曜とかはどーよ」
「多分空いてんじゃね?んじゃこっちも声かけとくわー」
「よろしく~」
……よっしゃ!!
うまく誘えたっ!
前はあんまりにも緊張しちゃってうまく誘えなかったんだよね。
何ていうか、そう、今までずっとこの関係を変えたいなんて思わなかったから。
リッキーに好きな人がいる、なんて聞いてから焦り始めたなんて世話ないけど。
ずっとずっと好きだったから、このままでいたくて。
告白して友達でいられなくなったらって思うと怖くて、一歩踏み出せなかった。
でももしリッキーが告白して、それがうまくいったとしたら……。
あたし達、もう“このまま”ってわけには、いかなんだよね?
そう思ったら動かずにはいられなかった。
あたしがこの本のファンを5年してる以上に、あたしはリッキーに恋をしてる。
それを何もしないまま終わりになんてしたくない、そう思った。
「んで、もう読み終わったのかよ?」
「もち。後でゆっくり語ろうじゃん!」
「オッケー。んじゃ一緒に帰っか」
「……おうっ!」
もう望みがないって周りは言うけど、あたしはそうは思わないよ。
来年、再来年、何年も経った後、あたしの恋は報われているかもしれない。
あたしがアイツを好きでいる限り、可能性は無限大なんだから。
*To next*