ただ、そばにいて
「こんにちは~!」



勢い良く開いた玄関の扉から、ドアベルの音とともに元気な声が響き渡った。

階段の下を見下ろすと、ノースリーブのブラウスにミニスカート姿の、若い女の子がキョロキョロしている。

そして私達が挨拶するより早く、こちらに気付いた彼女は、にっこりと向日葵のような笑顔を咲かせた。



「あっ、ナツいた!」

「……エリカ?」



名前で呼び合う二人に、胸が鈍く痛み出す。

驚いたような顔をしたナツは、階段を下りてエリカというらしい女の子のもとへ急ぐ。

私はそれを、ただ見ているしかなかった。



「どうしたんだよ?」

「ナツが帰ってきたって聞いたら、いてもたってもいられなくて! またサーフィン見せてよ」

「いいけどダメ。今日はバイトだから」

「なーんだ、残念」



……その子は友達? それとも彼女?

親しげに話す二人に、さっきのナツと同じ質問を心の中で投げ掛ける。

でも聞くまでもないわよね。ナツは昔からモテるもの、彼女だっていて当然なんだから。

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