ただ、そばにいて
「ナ、ツ──」



やっと一つになれたことに、ありえないくらいの快感と幸せを得て、自然と涙がこぼれた。

今までのセックスは何だったんだろうと思ってしまうほど、ナツとの行為は“感じる”。



「ヤバい……朝海の中、気持ち良すぎ」



何度も私を突き上げるナツのくぐもった声と表情が、限界が近いことを知らせている。

離れたくない私は、彼の柔らかな髪に手を差し込んで、ギュッと胸に抱きしめた。



「まだ、イヤ」



一瞬驚いた顔をしたナツは、すぐに目を細めて苦笑を浮かべる。



「そういうこと言われると余計無理」

「ぁ……っ!」



動きを早めた彼に、私もついていくのが精一杯。

何も入る隙間がないくらいにしっかりと抱きしめ合って、私達は一つに溶け合った。




いつの間にか雨は止んでいて、雲の切れ間から赤い夕陽が差し込んでいる。

ナツの腕の中でどっぷりと幸福感に浸りながら、窓の向こうの雨上がりの空を眺めていると、私の髪を撫でながら彼が言う。



「明日、早起き出来る?」

「うん。何で?」

「一緒に見たいものがあるから」



不思議そうにする私に、ナツは優しく微笑んで額にキスをした。


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