ヤクザの家族になっちゃった!?


「ってことでさ!
ちょっと女の子アピールしてみれば??」

「女の子アピール?」

「そ!ギャップよギャップ!

普段、和泉は露出少ないじゃない、

だからここでどんっと!」

ど、どんっと??

「下着みたいな格好で海で走ろう!」

ちょ、下着って…

本気できるの嫌になってきたよ、その言い方…。

ちょっと買おうかなって迷い始めたのに…

……でも、

少しは私のことみてくれるかな?

買おうかな、ビキニ、

そんなこと思う私がいるなんて、

今までだったら考えられなかった。

彼に見てほしい、

触れてほしい、

笑いかけてほしい

たくさん、ほしい。

物じゃなくて、

笑顔だったり、言葉だったり、

そう言う、何気無いもの。

それだけでも、嬉しくなっちゃうんだよ。


そんなの、考えるなんて思ってもみなかった。

恋なんて、してる暇ないしー

って思ってたし、まず

恋なんてしたって無駄。

何が楽しいのかわからない

なんて思ってた。

けど反対に、

恋してる子達をみて、羨ましいとも思った。

私も、恋しないなぁって。

けど、その子達の気持ちなんて一切理解できなかった。


なのに、ね。

私はその、憧れたものになってるんだ。

恋する女子に。

そう考えると、少し嬉しくなる。

好きな相手のため…かぁ、

私がビキニ着ることが龍之介さんのためになるなんて思わないけど、

でも、見てほしいなぁ

なんて思ってたときにはもう、

るりの持ってるビキニを手に取ってた。

< 119 / 257 >

この作品をシェア

pagetop