ヤクザの家族になっちゃった!?
夕飯を終え、ガヤガヤと騒いでいると、
零夜さんがどこからともなく大量の花火を出してきた。
花火はいろんな種類があって
線香花火やネズミ花火、ロケット花火まで、
沢山やった。
途中、酔っぱらってる大人たちが頭に巻き付けたタオルに刺して踊ってるのを
危ない危ない!
と叫びながら止めてたりなんだりして
龍之介さんのことを悩む暇もなかった。
けど、そんな状態でも目では探してて…。
花火が終わっても花火で盛り上がっテンションが下がらないみんなを
心配になりながらも放置して
どこかに消えてしまった彼の姿を探す。
外をきょろきょろしても誰もいなくて
部屋のなかを見てみようと
扉を開けると
その横に落ち込んでるように座っていた。
「龍之介さん…どうしたんですか?」
声をかけると
私の顔を無言でじーっと見つめてくる。
「…え?」
なにかついてるかな?
なんて思い、顔をおさえると
「和泉…。」
切なそうに、私の名前を呼ばれ
不意に赤くなる私の顔。
「あの男のことが好きなのか?」
龍之介さんはそう言って私の手を軽くさわった。
「…あの男?」
不思議に思い、繰り返すと
「今日…話してた。」
話してた?
んー、みんなと話したからなぁ。
「さっき、顔を近づけて…何をしてた。」
次に怒るようにそう言った彼。
「顔を……?」
んんん?
と考え、あぁ!
と思い出す。
「竜のことですね!
何をって別にジャレてただけですよ?
好きは好きでも…。」
あなたに対する好きと同じじゃないよ。
そう、いいかけたけど
やめた。
まだ、もう少し勇気が必要だから。
「でも、なんだ?」
止めたところに突っかかってくる龍之介さん。
「友達として、ですよ。」
笑って返すとそうか。
とだけいって、
軽く触れてた手を引っ張られた。
勢いで龍之介さんに飛び付く形になる。
慌てて退いて、隣に小さくなった座り直した。
立とうかなって思ったけどね、
手を繋がれてて…しかも恋人繋ぎで…
だからあんまり動けなかったのと
隣にいていいよって言われてるみたいで嬉しくなって、緊張を押さえつつも、隣に座ることを選んだ。
「なぁ。」
龍之介さんはそう切り出して
「なんであの時、俺がいくならいく。何て言ったんだ?」
そう、聞かれ、
戸惑った。
もちろん、お父さんのことを言うことには抵抗はない。
知っててほしいと思える相手だから
ただ…
もうひとつの理由は…いってもいいのだろうか、
と悩んでは見たけど
子犬みたいに見つめてくる目を見たら
正直に全部言いたくなった。