ヤクザの家族になっちゃった!?
夜さ、
チカチカしてる電灯って怖いよね。
下に女のひとがいそうで。
何て妄想してたら本当に怖くなってきたから、
脳みそを気分転換させるために
嬉しいことを考えるようにした。
この前、海にいったこと。
まぁ、そこを思い出した時点で
怖いこともだけど、それよりほんと、
握られたてのぬくもりを思い出してしまった。
あぁ。
何で帰っちゃったのかな…
なんて、くらい空気を醸し出しながら歩いていた。
すると、
後ろから走ってきた車が急に目の前で止まった。
偶然かなって思ったけど、
回りには駐車場も、家もなにもない。
こんなところに止まる…?
私は少し怖くなって車から離れて歩く。
すると、
車の扉がガラッと開いて
早歩きする私の後ろをついてくる
な、
なんなのよぉ…
またあいつら!?
怖いって怖いって怖いって!!!
どーしよぅ、龍之介さん…
連絡しようか。
とも考えたけど、それどころじゃない私。
半泣きで走り出した。
けど。
ローファーはほんとに走りにくい。
足音が近くなってる気がしたので、
慌てて靴を脱いで走る。
あ。
こっちの方が早く走れるや。
何て思いながら走ってたけど、
体力の差なのか、
能力の差なのか、
すぐ後ろに追い付かれた。
私は焦って声を出そうとするけど、
息切れと怖さで声がでない。
やだよ、怖いよ怖いよ怖いよ怖いよ。
私ここで死んじゃうの…?
そんな考えが脳裏を横切った瞬間、
「お前…」
そう、声がした。
息切れしながらそう言った声。
その声は私の知ってる人と同じ声で、
私の好きな人の声。
慌てて振り向くと。
そこにはスーツ姿の龍之介さんがいた。
「りゅ、龍之介さん…、」
私は龍之介さんに声をかけた。
龍之介さんはすごく不機嫌そうな顔をしてる
や、やばいよね、これ。
一応謝っておかなきゃ…?
いや、一応ってゆうか、私が走らせたみたいだし!?
明らかに私が悪いよね、
「龍之介さん、ごめんなさい。どうしててここに?」
私が謝りながら訪ねると
無言で私の手を取り
走ってきた方へ歩き出した。
「え、ちょ、え!?」
戻るの!?
「何か用があるんですか?」
私が声をかけると
「車。」
って。
あぁ。
さっきの車は龍之介さんのだったのか…
でもなんで降りたんだろ?
「龍之介さん、ごめんなさい」
私はもう一度謝った
けど、
すごいにらんできた。
どれだけ走るのが嫌だったんだ…、
本当に申し訳ないです…
何て反省してたら、
「お前はなんで怒られてるのかわかってるのか?」
って。
「走らせたことですよね…?」
「いや。
その反応は間違えてない」
「え?」
じゃあどうして…
「まず、なぜ俺をおいて行った」
え、
「柳っちに聞いたら龍之介さんは帰ったって…」
私がそういうと
あぁ。
と言ってから
「あいつ、計ったな。」
と。
計ったって身長かなんか?
…あぁ!
まさかの体重!?
それだけはほんと勘弁!!
なんて考え、
「柳っちには言うなよって言っておかなきゃ」
と呟いてしまった。
それが龍之介さんの耳に入ったみたいで、不機嫌そうに眉間にシワを寄せた龍之介さん。
そんなに寄せてると、そーゆー顔になっちゃいますよ?
何て考えたら
「柳と、なにか秘密でも共有してるのか?」
って言われたので
「え、秘密?あー、まぁ、書類とかでね、体の重りの数を書いたので、ね。」
ってはんば無理やり濁しながらいったら、
少し不思議そうに笑って。
なんだそれは。
と。
この急な笑顔に胸を一突きされた私。
これから車に乗るのよね?
密室よね?
私の心臓もつかしら、
なんて心配する。