ヤクザの家族になっちゃった!?

シーンと静まる


龍之介さんの驚いた顔を見て、

振られることは確実だなって、

そう覚悟した。

けど、


龍之介さんは

なにも言わずに私を抱き締めた。


…なんで、

「龍之介さん、離れてください…」

離してなんか欲しくないけど

ほんとはもっとずっと抱き締めてほしいけど

でも、そんなことだと

いつまでたっても諦められないから


…きっと、諦めることなんて簡単じゃないと思うから。


私は少し力を入れて龍之介さんを押した


けど、龍之介さんの力には叶わなかった。


大事そうに包み込む龍之介さん。

私…勘違いしちゃうよ、

離して…

何て頑張って理性きかせてるけど

私の心は素直で

放なさないで

って叫んでる。


「…ない。」

龍之介さんが耳元でつぶやいた

「え?」

「やっと手に入れたんだ。

一生離さない。」


…え?

「それって…」


どうゆう意味?

龍之介さん、

期待しちゃうよ?


「龍之介さん…」


「龍之介だ。
敬語もいらない。」



もう、なにをいってるのかわからないよ?


「いや、それはなんか…はい、」


私がそう言うと不満そうに眉間にシワを寄せた。


「あ、いや、龍之介さんが嫌いとかじゃなくて、
逆です!えっと、特別な感情を持ってるから…なんか、はい、」

そう、頑張って言い訳する。

いや、まぁ本心なんだけども。

うまく伝えられなくて意味わからない言葉を連呼してしまい、

自分であぁー、

と後悔する。

けど、そんな私を見て龍之介さんは

「特別…か。」

と、少し満足そうに微笑んで


「お前はこれから、俺の女だ。
覚悟しろ?」


龍之介さんは、そう言ってニヤッと笑った。

え、

覚悟しろって…


ってゆうか…


俺の女って…


え、

なに、え、


「龍之介さんは、私のことどう思ってるんですか…?」


私が聞くと

少し機嫌が悪くなった。
…あ。

「気づいてなかったのか?」

そう聞かれ、こくりとうなずく。


すると龍之介さんは、はぁ、と大きなため息をついた。

え、龍之介さん…?

不安がまた戻ってきた。

少し下を向いた龍之介さんの顔を覗き込むようにうかがう。

すると、その表情はいつもより何倍も真剣で、でも、発した声はいつもと同じくらい優しく、


「好きだ。一生俺のそばにいろ。」


と、そう言ってくれた。

言葉を理解できず、一瞬止まる。

けど、理解したあとの顔はきっと気持ち悪いことになってる。

でもそんなこと、今は関係ない。

…嬉しい。

嬉しすぎてほんとに爆発しちゃいそう。

心臓がうるさい。

でもね、

「私も…龍之介さんが好き…。

でも、やだよ。そばにいるだけじゃ、やだ。」


龍之介さんの支えになりたいの…


「ん。わかってる。

もうすでに、お前に助けられてるから。」

それだけいって

軽い、

ほんとに軽いキスをした。


…実際2、3秒だと思うけど、

私にとっては何時間にも感じた。

それくらい嬉しくて、

ドキドキした。


やっと自覚した。

これから私、龍之介さんの彼女なんだ…。


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