ヤクザの家族になっちゃった!?

車の中はなぜかピリピリしてる

「あの…」

声をかけても返事がない

「龍之介さん?」

「…、悪かったな」

信号が赤になったとき、

私の方を見てそう言った。

その顔がなんか、

すごい切なくて、

ズキンと胸が傷んだ。

「なんで龍之介さんが謝るんですか?」

「…あいつの性格知ってたのにな」

多分レズビアンだってことだよね。

「…うん」

「油断してた。」

「…うん。」

「だから、悪かった。怖い思いさせて。」

うん、確かに怖かった。

それに、頭が働かなかった。

でもさ、

「龍之介さん、助けてくれたじゃないですか。私、龍之介さんが来たとき、すごく安心したんです。だから、謝らないでください」

私が笑いながらそう言うと、

龍之介さんは、照れたように少しだけど、

笑った。

「やっぱ私、龍之介さんの笑ってる顔好きです。」

「…そ、そうか。」

少しキョドったような龍之介さん。

私はなんか恥ずかしくなり、

窓の外を見てた。

…あれ、

観覧車だ。

…ん?

「こっちになにかようがあるんですか?」

龍之介さんに訪ねる。

「…嫌いか?」

「え?」

「遊園地、嫌いか?」

「いや、好きですよ?」

「ならいい。」

そう言って遊園地の駐車場に止めた龍之介さん。

ん?

「あの、もしかしてここで遊ぶんですか?」

私が聞くと、

あたかもあたりまえのような顔で

そうだ。

と答えた。

…急だね。

遊園地に来るならもうちょっとちゃんとした服着ればよかった。

あ、ろくなのないか…。

そんなこと考えてたら、

渡された紙袋。

「なんですか?これ…」

中身を見ると、洋服。

多分さっき買ったんだ。

「あの…」

お金…って言おうと思ったけど、

それを許さないような顔をしてきたので、

黙ってもらうことにした。

いや、もちろん、お礼は笑顔でしたけども…。


少し待っててもらい、車のなかで着替える。

「あ、お待たせしました」

龍之介さんは車の前で待っててくれた。

「あぁ。」

そう言って龍之介さんは私の手を取った。


遊園地では、

ジェットコースターに乗り

コーヒーカップに乗り…

まぁ、絶叫系は全て乗り尽くした。

全部私が好きなやつだけど…

もしかしてだよ?

「龍之介さんは遊園地好きじゃないんじゃないですか?」

だって、ジェットコースター乗ってても楽しそうじゃないし…

むしろ、待ってるときの方が楽しそう。

「…まぁ、好きではないな」

やっぱり!

「じゃあなんで連れてきてくれたんですか?」

「…お前の弟たちが好きだといってたから。」

…。

もしかして、私が遊園地好きだと知ったから?

なんか、嬉しい…。

「龍之介さん、ありがとうございます!」

「あぁ。」

いつも通り素っ気なく返してきたけど、

なんか、ミミが赤い気がする。

んー?

まぁいいか。

「龍之介さん、次は龍之介さんが乗りたいやつ行きましょうよ!」

私が提案すると、

「…そうだな。じゃあ…」

そう言って少し辺りを見回す。

「お化け屋敷なんかどうだ?」

…えっと、

今なんて?

「お化け屋敷…ですか?」

「いやか?」

心配そうに私の顔を見た。

無理して私に付き合ってくれたんだもん。

嫌だなんていえないよ!!

「いやいやいや!大好きですよ!」

私は引きつりながら、笑った。

龍之介さんはそうか。

そう言って私の手を引いた。



「いぎゃぁあ!」

「うわぁぁぁ!」

前に入ったカップルの声が聞こえる。

…やばいやばいやばい

泣きたくなってくる

怖いよぉ…

私は無意識に繋いでる手を強く握ったみたいで、

龍之介さんは少し笑って、

列から外れた。

「龍之介さん?」

「悪いな。少しからかった。」

そう言って笑った顔は

少年のような顔で

少しドキンとしたけど、

「どうゆうことですかぁ!?」

「苦手なんだろう。お化け屋敷。」

「う゛…」

からかってみたけど、泣きそうだからやめてくれたのかな?

でも、よく気づいたな…

頑張って隠してたのに…。

人のこと、よく見てるなぁ…。





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