ヤクザの家族になっちゃった!?
いつもの私ならここで謝ってる
でも、
今回はそうじゃない。
ふぅと、少し小さな深呼吸して、
空き教室へと踏み込む。
ガラッと開いた扉を
驚いた顔をしてみてきた二人。
私はそんなの気にせずに、
ズカズカと中田さんの前までいく。
中田さんは震える声で
「なに?」
そう言った
今の私は彼女を理解することはできない。
彼女の本当の辛さを共感することはできない。
けど、
「私ね、中田さんとお友だちになりたい」
やわらげられる存在になりたい
「…無理よ。そんなの。今すぐになんて無理」
「なら、今すぐなんかじゃなくていいから。
私はいつでも待ってるよ」
私はそう言い残して
空き教室を出た。
空き教室の前では、
龍之介さんが待っててくれた。
…そう言えば、
「龍之介さん、ここへなにしに?」
「……。」
あ、また無言。
って思ったけど…
よく見たら口が動いてる。
もう一度、とせがんだら、
「お前がここで座ってたから。」
そう、答えてくれた、
龍之介さんの優しさが身に沁みた。
てっきり奈美恵さん会いに行くのに通ったのかと思ってた。
安心した、よかった…
何てことは言えないから言わないけど。
…そんなことより、聞かなくちゃ。
ちゃんと、本人に…
「龍之介さん…」
私が声をかけると、
優しく返してくれた
「なんだ?」
って。
「龍之介さん…奈美恵さんとどういう関係なんですか…?」
普通の関係じゃない…
そう感じたのは、
私の女の勘ってやつ。
でも、龍之介さんはものすごくきょとんととした顔で
「幼馴染みで、親に当たるが…?」
そう言った。
その顔をみて、
すごく安心した。
嘘ついてるようではなさそうだから
でも、あれ?
私の女の勘って…?
…私、女じゃないのかも…?
いや、そんなことはないけど、
うん、
まぁ、なにもないならそれでいいか。
私はそう心に言いつけて
龍之介さんと一緒にクラスへ戻った。