ゆり
びしょ濡れで学校に到着したさゆりに、同じクラスの親友のサチが近寄ってきた。

「お♪今日は会議が長引いてるらしくて担任まだ来てないよ〜ラッキーじゃん」

「まじ?ラッキー」

早瀬とハイタッチをする。

「ほぉらね!遅刻しなかったー」
さゆりが早瀬に
勝利の笑みを浮かべた。
「寝ぼけてんの?遅刻は遅刻!ばれなかっただけ」

「寝ぼけてません!起きてます!覚醒済みです!!」

唇を尖らせて、さゆりが言う。

「早瀬も大変だねー。
こんな彼女持っちゃってさ〜」

サチは、大袈裟なため息をはく。

「ため息つくな!そして哀れな顔で、俺を見るな!!」

「サチ〜違うって何度言ったら解るの?
あたしと早瀬は幼なじみなんだよ。腐れ縁なの」
さゆりが言った。

同時に担任が入ってきた
各自席につく。

かわいそうに。

サチは、早瀬を見つめた

「その目やめろ」

早瀬は、ため息混じりにサチに訴えるのだった。


超鈍感女に惚れた男は、苦労する…

サチは、もう一度わざとらしく早瀬を一瞥し、ため息をついた。
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