君の明日は、私の明日



『やだやだ!!お姉ちゃんっ…!!!!お姉ちゃあああああんっ!!!!!!お姉ちゃんっ!お姉ちゃんお姉ちゃん!! 戻ってきて、おねがぁぁっい!!』



私は声が枯れるまで何度も何度もお姉ちゃんを呼び続けた。



しばらくすると、パトカーが来た。


泣いている間に千尋さんが呼んだらしい。


私はもう、泣き疲れて声も出なかった。



ただ、涙が静かに頬を伝うー……それだけ…



遠く広がるその海をじっと見てた。



そう見てると、ちょこんと「ぷはーっ」って言いながらお姉ちゃんが出てきそうでー……



私があげたカードを持って「見つけたよ、乃愛のカード」って笑顔で戻ってきそうな気がして……



『乃愛、千尋くん!!愛美は?!』



お母さんの今にも泣き出しそうな声が響く。



見知らぬ女の人が座り込んでいた私に、タオルを優しくかけて顔を覗いてきた。



『大丈夫?』と…私は何も言わなかった。



喉が痛いー……喉よりも…心がずっとずっと痛かった。




< 90 / 285 >

この作品をシェア

pagetop