君の明日は、私の明日



『お前、サイテーだな。』



後ろから突然かけられる低い声に私は振り返った。


そこには、怒りに瞳を光らせた千尋さんがいた



『一緒にいたのに…なぜ、止めなかった?なぜ、助けなかった?……お前…なに、叫んで泣いてんだよ……』



私は何も言えなかったー……


“泳げないから” そんなのただのいいわけ。分かってるー……



『お前……実の姉が海に入ってくの…その目で見たんだろ??…なぜ助けないんだよ……バカか…お前は…』



聞いたことのない、千尋さんのドスの聞いた低い声。



あんだけ泣いたのにまだ流れる涙ー……


流しすぎて…息が苦しくなる…



『やめてください…』


私の隣にいた女の人が静かにそういう。



『それって…乃愛……お前……自分の姉を……見殺しにしたんだよっ!!』



千尋さんは構わず大声で叫んだ。


私を…乃愛ちゃんじゃなく…始めて乃愛と呼び捨てて…



『千尋くん!!やめなさい!!乃愛は…悪くない!ちゃんと、乃愛の話を…』



お母さんは千尋さんの前に立ちはだかって私をかばう。



『理由はなんであれ、見殺しにしたのは変わりねぇ。』




千尋さんはそう言って、私たちの前に姿を消した。

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