結香莉
安心感に包まれて、気持ちいいまま再び眠りについた。
翌朝、窓から射し込む、お日さまの合図で目を覚ますと、その手はつながれたままだった。
「結香莉、愛してる」
同じ合図で目を覚ました尚宏さんが耳元で吐息のようにそう囁き、私の手にキスをした。桃のような唇で濃艶な蝶が蜜を絡めるように。
手をつないだまま愛し合う。ダブルベッドが狭く感じるくらい望み以上に本能的に。
途切れかけていた心の糸が手と共につながった。
これからも恋のお守りを使い続けよう。
後、二人か三人、尚宏さんと私の遺伝子を残したいと思うから。
ねえ、尚宏さん、私の手と結衣の手、そしてこれから誕生するであろう子供たちの手をずっと、ずっとね、離さずにいて……。
私は無口な尚宏さんがたまに「結香莉」と呼んでくれたら、後は「ママ」でいい。
「ママ」がいい。
恋のお守りが私に幸せを教えてくれた。
【結香莉*END】