大人のEach Love


シュウジの住むマンションは、私のアパートから30分位はかかったはず。
マンションの場所は定かではないけれど、多分ここに迎えに来てくれるにしても、20分はかかるだろう。


入口近くのカウンターに腰を掛けながら、休憩室でシュウジと話した事を考えていた…。


シュウジは、いつから私を知っていたんだろう?

あの日に出会ったのが初めてだと思っていたけれど、シュウジはまるで以前にも会った事があるような口振りをしていた。

『覚えていないなら、それはそれでいいよ。』

私は何かを忘れているのだろうか?
何だか…思い出せない事にモヤモヤする。

本人に聞いたところで、答えてくれるかは分からないけれど、一応聞いてみたい。

私の事を好きになってくれたきっかけだったのかもしれないし。


そんな事をふと思っていると、手にしたスマホの呼び出し音が鳴り出した。


「シュ、シュウジ?早すぎじゃない?」


『会社に居たんだ。今、店の前に車を横付けしてあるから、おいで?』


「う、うん。直ぐ出るね。」


そう言って電話を切ったけれど…。

今の今まで仕事をしていたの?
私を待つ為だけに…?

もしもそうだとしたら、何だか悪いな…と思いながら、店を出た。




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