大人のEach Love
シュウジに渡されたワイングラスを手にして、それに口をつけた。
あの日の夜と同じアップルサイダー…とは、少し味が違う気がする。
ほんのり香るレモンの匂いと、…お酒?
一口飲んでから、そのワイングラスを凝視している私に、シュウジは話し出した。
「ああ…ジンが濃い目に入っているからグビグビ飲まない方がいいよ?」
「今日はお酒を入れたの?何で?」
「あれ?ジンは嫌いだった?」
「ううん。そういうわけじゃないんだけど、
ノンアルコールでも私は良かったかなって。」
隣に腰掛けていたシュウジは、艶やかな表情を浮かべながら私を覗き込む。
私の髪に手を伸ばし、その髪を指先でクルクルと遊ばせながら視線を私に向けた。
「今日、飲んでないでしょ?だからだよ。」
「飲んでいたら、ノンアルコールだったの?」
好きな人に飲まないで欲しいと言われながら、飲むような事はしたくなかっただけ。
こうしてお酒を出してくれたという事は、私に対する労いなのだろうか。
お酒を口にしたかった訳ではないけれど、シュウジの艶やかな表情の方に酔わされそう。
「飲んでいたら、お仕置きタイムだったよ?」
その言葉にゆっくりと早まる鼓動を感じながらも、シュウジから目を反らせなかった。