大人のEach Love
背中に触れていたシュウジの指先がピクリッとしたのを肌で感じた。
シュウジは私の胸元に顔を埋めたまま動きを止めていて、私は何かいけない事を言ってしまったのかと不安になった…。
躊躇してしまう何かがあるのだろうか?
私に嫌がって貰いたかったのだろうか?
私に…止めて貰いたかったのだろうか?
シュウジの背に回していた腕を引き抜いて、今度はそれをシュウジの首に巻き付け引き寄せた。
「…シュウジ?」
「…まらない…けど。」
「…えっ?」
「俺っ、君が嫌がっても止まらないけど…
本当にいいの?君だけは、失いたくない…。」
何を想ってシュウジはそう言ったんだろう?
私を大事にしてくれているのは犇々と感じてはいるけれど、それだけでは無いような気がする。
『覚えていないなら、それはそれでいい。』
という言葉も聞けぬままだけれど、今の事も聞いて良いものか迷ってしまう。
でも…それなら、この時だけは聞かずにシュウジを包み込みたい。
何かの不安を感じているのなら、尚更。
「シュウジ?私は嫌がらないよ?
…大好き。だから…、私を愛して…。」
私がそう言うと、シュウジは股がった私をそのまま抱き上げて
『寝室に行こう。…離さない。』
と耳元で欲情的に囁きながら寝室に入り、静かに戸を閉めた…。
fin.