大人のEach Love
-- 結婚記念日から二日後。
俺は部下達から背を押され、職場を後にした。
まるで、デジャブの様な感覚だ。
二日前、俺の背を押した君の様で。
『後は引き受けますから!』
『ここまで進めてあるんですから、
俺達を信じて下さい!』
『とりあえず、部長は直帰です!!』
『ラブ・タイムで充電してきて下さい!』
ラブ・タイムって…
…おい。
うちは家庭円満だ。
と思いながらも、部下達の計らいに感謝し、
『頼んだぞ?』
という言葉を残して職場を後にした。
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自身のマンションに帰り着き、いつもの様にエントランスにあるインターホンを押してみたけれど、反応がない。
仕方なく、内ポケットに入れた我が家の鍵を差し込み、そして捻った。
目の前で、このマンションの自動扉が開いて
俺は足早にエレベーターへと乗り込んだ。
今まで、このマンションに移り住んでから
そんな事は一度たりとも無かったのに。
その作業に一抹の不安を抱えながら、
自宅のドアを目の前にした。