大人のEach Love



俺の手の平にハンドクリームを出し、
君の手に馴染ませるように
ゆっくりと手を滑らせていく。

あかぎれは仕方がないにしても
カサカサした部分は、まるで雨上がりの草花の様に、潤いを取り戻していった。

それを黙って見つめていた君は、
恥ずかしそうにしながら話し出す。


「ママ友に、ハンドクリームを逐一塗らないとダメだよって、言われててね?
…だけど、何かと手洗いばかりで。
寝る前になると、すっかり忘れてしまうの。」


「…そうか。」


きっと、忘れてしまうんじゃないんだろう。
きっと、寝る前になると体の疲れが出て

…ハンドクリームどころじゃないんだ。




それなら…




「俺が毎日、…塗ってあげるよ。」



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