大人のEach Love
在庫表の挟まれたバインダーを手にして
方膝をつき、棚に列べられたトップスの在庫を確認していく。
このデザイン、人気あるな…
色違いが1枚しかないし。
各2枚ずつ増やしてもらおうかな。
こっちは全然売れてない…
重ね着アイテムだからかな。
マネキンに重ね着アレンジさせて
セット売りにすれば消化していけるし
売り上げにも繋がるよね…
スラスラとペンを走らせる、私。
急いでバイヤーにファックスをしなければ
翌日の注文に組み込んでもらえない。
そんな風に、黙々と作業を続ける私の背後に
人の気配を感じた。
-- ヤツか…
心でため息をつくのと同時に
背後にいた人物に話しかけられる。
「あれぇ?真弓さん、店長は?」
「足音出さずに近寄るんじゃないの。
……バカ。」
ペンを走らせたまま、ため息交じりに呟いた。