大人のEach Love



在庫の枚数を数え、黙々と記入していく私。


その私の背筋を、彼はツーっと撫で上げた。


「ちょっっ!?…何してんの?!」


「あー…。
真弓さん、フロントホックじゃないんだね?」


「はぁっ?!」


人差し指を伸ばしたままの彼が
少し残念そうな表情をしながら
私を見下ろす。


何なのよ突然っ…!!
フ、フロントホック…?

さっき、彼の人差し指が撫で上げたのは
私をくすぐるとか、そういうんじゃなくて…

ブラのホック位置を確認する為だったの?!


バインダーを投げ出して、
自身を両腕で抱き締める。


…こ…、こいつ、ホントにムカつく。

人の気も知らないでっっ。


少し上手に私を弄ぶそれが、
凄く、凄く、憎たらしくて。



それが、こんなにも愛しかった…



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