大人のEach Love
赤面顔を隠しながら、バインダーを手に取り
『ホント、キミ、ムカつく。』
という片言の台詞を吐き出して立ち上がる。
レジの横にある電話の場所まで、
逃げるようにして、小走りで駆けて行った…。
信じらんないっっ。
私の心臓、ホントにヤバイんだから。
ぶぁかっ…!!
心の中で、そう文句を吐き出しながら
機器に在庫表と注文書を雑に入れ
スタートボタンを押す。
--- ピーー…ガガッ…ガガッ…
…よし。
これで、在庫と注文は問題なし。
後は、マネキンをディスプレイ用に…
と、振り返った直後。
優しい微笑みを浮かべる彼が目に入った。
「うわっ!びっくりさせないでよっ。」
私が驚いたのを楽しそうに笑った後…
彼は、
指先でチョイチョイと私を誘っていた。
『何なのよ…』と、文句を口にしつつも
彼にバレないように…
緩んだ頬を片手で隠しながら
私は彼の誘いのままに、ついて行った。