大人のEach Love
「ねぇっ…ホント、私…っ。」
「目線は、鏡だよ。…真弓さん?」
「…っっ。」
鏡に映る彼の目は、
見たことのない程の、真剣な眼差しで。
好きな相手から言われたのならば、
文句を言う事も、逃げ出す事も出来ない。
彼は私の髪に口づけて
『綺麗…。僕を、誘ってる?…真弓さん。
僕の好きな香りを選ぶだなんて…。』
と、私の耳元で言葉を吐き出した。
…吐息交じりに。
「こうやって、触ってても嫌じゃないの?
…僕だから?
嫌なら、止めてもいいんだよ?」
…嫌なわけ、ないじゃない。
キミの為に、自分磨きをしてるんだから。
キミを惹き付けたくて、しているんだから。
けど、
私はキミを好きになっていいの…?
キミは、私の気持ちが重くなったりしない?
胸の中に秘めていた不安が溢れだして
それと同時に、私の涙腺も崩壊した…。