大人のEach Love
「黙って。真弓さんの気持ちは、分かった。
…ねぇ?真弓さん。
…鏡を見てて?」
そう言った彼は、私の髪に口づけを落とす。
唇を髪から首筋に移動させながら
私の腰に腕を回し、優しく引き寄せた。
彼の唇が肌に触れた瞬間
『…んっ。』
と、小さな吐息を漏らす私。
「…僕の事、好きって言ったよね?」
「……。」
「ねぇ、真弓さん。
昨日の返事、ちゃんと聞きたいんだけど。
本当は、どうしたいのか教えて?」
…言えない。
こんなに重い気持ちを、
キミに押し付けたくないから…。
でも、好きだよ…?
鏡越しに彼を見つめると、
彼はイタズラっ子のように
何かの悪巧みをする子供のように
口の端を上げて見せた。