大人のEach Love



そんな私の手元に置かれた、
紙コップのコーヒー。

香りに惹かれて顔を上げると
そこにはチームリーダーである
貴方の笑顔。


「お疲れさん。」


「…いえ、私の遅延です。すみません。」


貴方の言葉に、思ったままを口にする私。

そう、私が遅いのが悪い。
要領の悪い、私が。


チームリーダーである貴方には、
終始迷惑をかけてばかり。

こうやって、私が残業している時ですら…。

部下想いの貴方が、私達より早く帰る日なんて
一日たりともなかった。

私の不甲斐なさが、貴方を会社に縛り付ける。

泣きたくなる気持ちを抱えながら
私は手元に置かれたコーヒーに口をつけた。


泣きたい。
悔しい。

私以上に、貴方を休ませたいのに…


それが、
自分の不手際であるのなら、尚更。


悔しさが増幅されていく。


こんなに、こんなに、


貴方を好きだから。


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