大人のEach Love
三人で他愛のない会話をしている最中、タケルは腕時計を見ると
『そろそろ会社に戻らないとな。
長い昼休みになっちまったよ。』
と、言いながら立ち上がった。
やっとレイナと二人きりになれる…
と、テーブルの下でガッツポーズをした俺。
タケルに向かって『早く行け』と言わんばかりにシッシッと手を振って見せた。
その俺の肩をポンと叩いたタケルは
『面倒な事に巻き込まれたくなかったら
絶対ぇ振り返るんじゃねぇよ?』
と耳打ちをしながら席を外して歩いて行く。
タケルの背を眺めがら、振り向きたくなる衝動を感じたけれど、タケルがそう言うのなら振り返らない方が良いだろう。
同じ様な経験が過去にあったからだ。
タケルが言う『面倒な事』が何なのか分からない。
だが、歯痒さを我慢しつつ、それは気にしないでおこう…
と、自分にそう言い聞かせていたのにも係わらず、その『面倒な事』の方から俺の方へとやって来たんだ。
「…あれ?もしかして、アキラ君?」