大人のEach Love
「過去の事じゃないしっ!!違うしっ!!」
「じゃあ、何を消せって…」
「オバサンが触った背中の感触をだよっ!!」
背中の感触を、消せ…?
レイナは、元カノが俺に触れた事に腹を立てているのか?
それじゃあ、レイナが俺に抱き付いて来た時に言った『オッサンも消しなさいよね』の台詞。
『オッサンも』という事は
『レイナも』という事だ。
俺に抱き付く事で、彼女の触れた手の感触を
…消そうとしたのか?
それじゃあまるで、レイナが俺のことを好きで
焼きもちをやいたみたいじゃないか。
まさか…な。
「あ…えっと…だな。
さっきレイナが抱き付いていたから。
…消えたよ。感触は。」
俺がそう言うと、レイナは顔を真っ赤にさせながらスーツの裾を掴み…
「触られてんなよ!!
アキラの背中を触って良いのは…っっ。
…私だけなんだかんねっっ?!!」
ツンデレなレイナの【デレ】を、俺に初めて見せてくれた瞬間だった。