大人のEach Love



『前々から、他の用事が入っていただけです。
…私の事は、気にしないで下さい。』


それが、私の精一杯の牽制だった。


『…そう?それは残念ね。
彼が貴女に手を出して、ごめんなさいね?
遊びたかっただけなのよ。
男って、嫌よね…本当に。』


彼女はどんな気持ちでこんな言葉を言っているのだろうか?
普段はそれでも普通にしているのに、私と二人になるとあからさまに話し出す。


確かに、知らなかったとはいえ彼女を傷付けた事には変わり無いけれど、こんな仕打ちはあんまりだ。


それに…何でだろう?



彼女は最後の言葉を言った後、泣きそうな表情をしていたような気がしたんだ…。


気のせいと流してしまえば、それまでなのかもしれない。

でも、私はその表情を忘れられなかった。


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