大人のEach Love


情報網の長けている彼女は、まるで全てを知っているような口振りだ。

私の知らない何かを知っているのだろうか。
彼との事を誰にも話さず付き合って、そして別れたというのに。

呆け顔をしながら見つめていた私に、友人は
『あんた。何も知らなかったの?』
と言いながら溜め息をつき、続けて話し出した。


『あの二人、元々上手くいってなかったの。』

『マンネリなのが嫌になって、あの男はあんたを引っ掛けたわけよ。』

『女の方は知らないけど、あの男はとんだ優男だね。最っ悪。』

『だから、あんたは悪くない。』


元々…上手くいってなかった…?
引っ掛かった…?
私は、…悪くない?


そう言われても、それを鵜呑みにしてもいいのだろうか。
彼女のあの表情を、私はどう解釈すればいいのだろうかと、困惑する気持ちを隠せなかった。




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