大人のEach Love
逃げる事もせず、責める事もせず、私はただ感情任せに問いの答えを求めた。
自分が悩むべき問題。
自分が解決しなければならない問題。
そう知りながら。
和久井さんが出したい答えなんて、ひとつしかないはずなのに。
その答えを、和久井さんに出させようとするだなんて卑怯すぎる…。
私にとって和久井さんは、想いを寄せている彼の同期というだけで、異性として以前に人としてでも好きかどうかすらも分かっていないのに。
ただ、私は、【優しい言葉】に逃げ道を作りたかったのかもしれない。
気丈に振る舞ってはいても、弱りきっていた心の逃げ道を。
友人が言っていた言葉の数々が、そんな私の脳裏を掠めて自問自答を繰り返していた。
『本当のバカなんじゃない?』
うん、多分私はバカなんだと思う。
彼を好きなんだから…って、自分に言い聞かせているのかもしれない。
『いい加減、目を覚ましたらどう?』
目を覚ましたら【現実】が見えてしまう。
それが、怖い。
『…何も良いことなんて無いじゃん。』
…そうなのかな?
彼がいつか、私を想ってくれるかもしれない。
と、そう思いながらも、私の心の中のビジョンには彼と微笑みあう自分の姿が想像出来なかった…。