大人のEach Love


「そうだよ…何で気付かなかったんだろう?
彼とは連絡が取れるし、私が我慢して会社にいる必要なんて無かったんだ。
女性と接しないで仕事をするんだなんて無理だけれど、想っている私が居ないだけでも彼からしたら気が楽なのかもしれないじゃない。」


そう、彼は恋愛なんて出来る状態なんかじゃない。
私が近くに居ない方が良いに決まってる。

私は待つって言ったんだ。
彼も彼で、私を好きだと言ってくれた…。
だから、私は彼の心が私を必要としてくれるのを待ちたい。
きっと、彼は今は仕事に集中したいに違いない。



そう思う私の傍らで、打算的な思考力を発揮する人格が顔を上げた。


…本当にそうなの?


「仕方ないじゃない。
私が身近にいるより、きっと冷静に考えられるはず。
そしたら、少しは私の事を想ってくれる余裕が出ると思う。」


…忘れたの?
友人が言ってたじゃない。
『別に相手があんたじゃなくても良かった。』って。


「…っ今は、違うかもしれないじゃない。
私は少しずつ彼の気持ちに沿っていけたら、それでいいの。」


…何それ?本気で言ってるの?

…笑えるんだけど。


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