大人のEach Love
幼馴染みであるマスターは、
客が少ないからなのか俺達の言い合いを
黙って知らぬ顔をしている。
最早、二人の世界だ。
俺は酔っているし、
女は感情的になっているし。
考えるのが面倒臭い。
どうせ、明日は休日だ。
このまま店で寝かせてもらおう。
そう思考を切り換えた俺は、
『お前は、帰れよ。』
とだけ言って、また眠くて堪らない頭を伏せた。
伏せたはいいが、俺の隣からスンスン…と響く音が気になって、寝入る事も出来ない。
横目にお前を見れば、涙を拭う事もせずに
ただひたすら涙を流すばかり。
本当に、泣きたいのは
こっちの方だ…。
無意識に、俺の右腕は
お前の後頭部に添え、引寄せた。