大人のEach Love

――― 
――

あの会話の後からも、桜はいつも通りに地味なスーツに薄化粧。
それから、【教育ママ】を連想させる眼鏡。

それらは何も変わることは無かった。




季節は春になっていた・・・。


無事、受験を終えた時期に
塾生徒から言われたんだ。


「田代ママって彼氏いんのかねー?」
「てかさぁー?あのベージュのスーツってどうなん?」
「うちらと2歳しか変わらないのに、女終わってる!」
「ねぇ~?宮野センセーだって、あんなの女じゃないって思うっしょ?」


その場でその生徒達を怒鳴りつけたかったっ・・・。
だけど、桜は公になるのを望んでない。
だから、俺は何も答える事無く曖昧に微笑んで堪えて見せた。


桜は、きっと生徒達のこの話を聞いても変わらない。
それは、半年付き合って分かった事だった。
桜は、自分の意志が固いんだ。
他人の意見に流されない、強い意志が。


だが、彼女がこれ以上何か言われているのを聞くのは俺が耐えられない。
せめて、桜と付き合ってる事だけでも言いたかった。

それも出来ないのなら・・・

それなら、俺自身が、桜側に変わればいい。

そう思った。



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