大人のEach Love
ぐるぐる探求心
葉を黄色に色づかせているイチョウ並木の道。
街灯に照らされたそれは、昼間に見るよりも色味を増しているように見えた。
頬を撫でる秋風に肩をすくませ、無意識に片手で反対側の腕を擦る。
「俺の何がダメなんだ・・・。」
そう愚痴を零しながら、ひとつ溜息をついて彼女の言葉を思い返す。
『そんなにモテるのに、私なんですか?!佐田さんは、上手く言えないんですけど愛らしさが足りないというか・・・。あの・・・保留にしてもいいですか?』
それが、
就業後、彼女に告白をした俺への返答だった。
YESかNOかの返事だと思っていたからか、彼女が発した【保留】という言葉に戸惑ってしまい、俺は言葉を詰まらせた。
自慢じゃないが、自分が社内でモテているのは知っている。
告白してくる女子社員が多かったから分かった事なのだが、俺自身はそんな事はどうでも良かったんだ。
容姿が良いからと言って、自分の好きな女すら手に入れられないのなら意味がない。
彼女の言う【保留】の意味が分からなくて、思った事をそのまま言葉にしてみる。
『保留ってさ?もしかして、俺ってキープ君とかいう?』
その俺の問いかけに、彼女は首を傾げて
『キープ君って、何ですか?』
とか言いやがったんだ・・・。
どうやら、彼女は地味子に付け加えてド天然らしい。