大人のEach Love
―――保留から2日目。
俺はまた、昨夜新たに購入したブツを胸ポケットに入れて出社。
その存在は誰にも気付かれないだろう。
これで、昨日の様な失敗は繰り返す事もない!
エントランスで受付嬢と挨拶を交わし、俺は自分の部署【営業部】に向かう。
受付嬢の前に飾られたひまわりを横目に、彼女の姿を思い浮かべ頬を緩めた。
彼女はこの営業部の補佐役に就いていて、フレックスだというのに8時から就業開始。
その彼女がいる営業部の室内に入る前に、俺はブツを装着した。
「おはようございますっ!」
ハキハキとした声でそう言ってはみるものの、室内の社員は言葉を返すことなく俺をただ唖然と見つめるだけ。
なんだ?!
なんなんだ?!
まさかの失敗か?!
ぼんやりとした視界の中、奥の席に座っていた部長がツカツカと俺に近づいて来るのだけは分かったんだ。
部長は俺の目の前にまで来ると・・・
「おいっ!佐田?!何の悪ふざけだ?!」
「部長。悪ふざけなど、しておりませんが・・・」
そう小さく反論した俺から、部長はソレを取り上げた。
「コレは悪ふざけ以外の何物でもないだろう?!」
物凄い見幕を浮かべた部長が手にしたソレは・・・
「お前、裸眼で2・0なクセに、ビン底眼鏡とは何事だ!!」
某お笑い系で使われているぐるぐる眼鏡こと
【ビン底眼鏡】だった・・・
また、彼女に見せられなかったじゃないかっ。