大人のEach Love


―――保留から3日目。


俺は、昨夜ほぼ無意識に購入したソレを身に着け出社。


いつもの時間。
いつもと同じお決まりの挨拶。

いつもとは違う受付の花・・・。


「今日はガーベラか・・・。」


彼女がそれを胸に抱えて出社してきたであろう姿を想像して、ふと口元が緩むのを感じた。

その口元を隠しながら部署内に向かう。
廊下の先に見えた部署の戸が開いたと思ったら、そこから部長が姿を現して俺を呼び止めた。


「おぉ!佐田!良い所に来てくれた!」


「おはようございます、部長。どうかなさったんですか?」


「お前、今日内勤だったよな?すまんが外回りに出てくれないか?」


「はい。承知しました。直ぐ、準備します。」



―――ガシッ!!



歩き出そうとした俺の腕を、部長は突然掴んで引き止めた。


「佐田・・・。外回りでソレは流石にまずいだろう?スペアは無いのか?」


部長がそう言いながら指を差したソレは、
俺の【なると柄のネクタイ】で・・・


「スペア、あります・・・。」


また、彼女に俺の愛らしさを見せられず仕舞い。



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