大人のEach Love


そんな会話をしていた友人達は、
化粧直しを済ませたんだろう。

入って来た時と同じ様にして
ヒールの音を響かせながら出ていったようだ。


陰口とかじゃなくて、良かった…


確かに、花子には元彼の話はしていない。
大学時代、花子は地方の大学に行っていて
恋愛話は高校の頃までだけ。


大学卒業後、花子は地元に戻り
広告代理店に就職した。
その半年後、職場で知り合った人と付き合い始めると、私に会う度のろけ話をしてくれて。

大好きな親友が、こんなに幸せそうな表情をしていることを、自分事のように喜んだ。


花子がその彼と付き合い始めて二年が過ぎた頃
社内で友人達との昼食中、花子からの着信が入った。


『結婚する事になってね?
直接、招待状を渡したいし、
彼にも会って貰いたいんだ。』

『あはっ!さては花子ぉ~…
私に見定めて欲しいわけね?』

『ふふっ。…分かっちゃった?
凄く素敵な人だから、大丈夫だと思うよ?』

『またぁ~…ノロけちゃって!こいつ~!!』


そんな風に、
電話越しに楽しく会話をしていた私と花子。

私の隣で話を聞いていた友人の一人が
気まずい表情をしていただなんて
私は気付きもしなかった。


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