大人のEach Love
コーヒーを片手に、窓の外を眺めていた。
町行く人は、様々だ。
休日だというのに、スーツを着てスマホを耳にしながら険しい表情をしている、サラリーマン。
ショッピングだろうか?
洋服のディスプレイを指差しながら楽しげに話している、数人の若い女の子達。
それから、
私に対する嫌がらせかの様に、
途絶える事のない…恋人達。
そうやって、ただぼんやりと眺めていると
窓の外の間近で、花子が手を振っている事に気付く。
にこやかに手を振り返そうと、片手を挙げた時
私は手を振る事もしないまま、
体を、表情を、硬直させた。
「神様は、…私には意地悪だ…。」
花子に寄り添うようにして立っていたのは
人違いであって欲しいと願っていた
元彼だった…