大人のEach Love


二人が喫茶店に入って来て、
私の向かい側の席に座った後からの事は
殆ど覚えてはいない。


一度だけ、元彼と目があったのだけは
覚えている。

彼も私を見た時、一瞬だけ驚き顔を見せた。
その後は、気持ちがいい位の平常心。

彼のそういう冷静沈着ぶりに、
当時の私は惹かれたんだ。


そう、この気持ちは当時の物。
懐かしい物を見付けたから。



私の心臓っっ!…煩いわよっっ…!

勘違いするんじゃっ…ないわよ…



彼の方には視線を向けず、
花子とだけ、話をするばかり。

花子から招待状を受け取ると、
私は適当な理由をつけて
二人を残し、喫茶店を後にした。

店が見えなくなると、私は行き先も決めず
ひたすら走り出す。


ムカつくのよっっ!!


…誰が?…元彼が?


違う。…動揺している自分自身がっっ



「ーーッハァ…ッ!…ムカつくっっ!!!」




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