大人のEach Love
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そんな今日までの事を思い返すと、
何故だか不思議と、少し楽に感じる。

【SAGE女】と言われて不快だったはずなのに
今では自分で肯定してしまいそうだ。


だって、今日の二人を見ていれば分かる。

私と付き合っていた頃の彼と
花子とバージンロードを歩いていた彼とは
印象が、真逆なくらいに。


私が【SAGE女】なら、
花子は【AGE女】なのかもしれない。


苦笑いを浮かべながら
私は漸く、このレストルームを後にした。





この式場の受付に預けたスプリングコート。
受け取ると同時に、
反対側の腕を誰かに掴まれた。

腕を掴んだ相手を見上げると、
それは、タキシード姿のままの私の…

違う。…花子の旦那様だ。
その彼の後ろには、ドレス姿の花子がいて。


この人、何やってるのっ?!
花子が不安がるじゃないっっ


掴まれた腕を乱暴に振りほどき、
感情的にならないように、冷静に。
そう自分に言い聞かせながら話し出した。


「何かご用ですか?もうすぐ披露宴ですよ?
ほら、花子。新郎を連れて行かないと。」


「…春美?
私が、彼に春美を引き止めさせたの。」




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