大人のEach Love
--- ガチャッ!!…バタン!!
【新婦控室】と書かれた戸を勢い良く開け、
二人を室内に押し込み自分も入ると
また、勢い良く戸を閉めた。
「スタッフの皆さんは、花子の衣装とメイクを
お願いしますっ。
ほらっ、花子は鏡の前よっ!!
和臣は、まぁ…
後で急いで着替えればいいわね。」
スタッフだけではなく、花子と、
新郎の佐田和臣までもが呆然としていた。
その後、花子と和臣は声を揃えて話し出す。
「春美らしいね。」
「春美らしいな。」
そこに、和臣が言葉を付け加える。
「面倒見がいいところは、相変わらず。」
「二人で仲の良いところを見せ付けない!
ええ、私は面倒見が良すぎな女なの。
だから、わたしは【SAGE…」
「春美は、そうじゃない。違う。
春美がしっかりしているから、つい、
任せっきりになってしまう男の方が悪い。」
『俺も、そうだったんだ…。悪い。』だなんて
謝ってきた和臣は、私の頭をそっと撫でた…。
な…何よっ。その不意打ちの言葉は。
いらないのにっ…そんな不意打ちの優しさは。
「なにっ…とつぜ…。」
ついさっき、感情的にならないようにって
言い聞かせたはずなのに、そんな風に言うとか
声が裏返っちゃったじゃないっっ。