可愛いあの人は高校生
加藤くんは眉間にしわを寄せたまま、あたしの方を見た。


覚悟はできてるんだ・・・・だって昔のあたしが一体この人にどんな風にしていたかなんてわからないし・・・。


「でも・・・過去とか全部関係なく、今のあたしで加藤くんが好きなの。」

言葉にする度に涙が溢れてくる。
こんな短い時間の中で人を好きになるなんて・・・・。


「お前こないだのやつと付き合ってんじゃねーの?」
加藤くんは疑うように聞いた。
まるであたしが好きだというのが信じられないみたいに。


「望くんは・・・違うの。好きじゃないけど・・・昔成り行きでそういう関係になっちゃって・・・別れたくても別れさせてもらえなくて・・・。」
あたしがそう言うと加藤くんはうつむいた。



やっぱり・・・そんな女なんか嫌だよね・・・。


あたしはがっくり肩を落として言った。

「それでも好きなの・・・・。」
もう涙で加藤くんの顔もぼやけ始めていた。



その時だった。


「お前なあ・・・人がせっかく諦めようと思ってるときになんでそんなこと言うんだよ・・・っ!!」

そう言うとあたしは加藤くんにぎゅっと強く抱きしめられた。




その瞬間満たされてく心と・・・甘くて温かい感触・・・・。
まるで昔どこかで・・・・。


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