可愛いあの人は高校生
加藤くんはあたしを助手席に戻すと、決心したように言った。

「俺とお前・・・昔付き合ってたんだよ。」
「・・・うそ!?」

あたしは驚いた。
やっぱり・・・この人はあたしの運命の人なんだ。
運命なんて・・・奇跡なんて・・・信じないと思ってたけど、これを運命と呼ばないではいれなかった。



「やっぱり・・・。」
あたしはそこまで言って言葉に詰まってしまっていた。
その代わりに涙ばかりがぽろぽろとこぼれた。

言葉で言おうとしても今の感情をなんて呼んでいいのかわからなかった。
ただ募った思いだけが目からとめどなく溢れていった。


加藤くんもそれを理解したようにあたしをまたそっと抱きしめてくれた。
少しぎこちないような、それでもこの気持ちは深まるばかりだった。


そして加藤くんはあたしを抱きしめたまま、話を続けた。
「それで・・・奈々は俺の高校の先生で、俺はその生徒だった。周りには秘密だったけど・・・それでも幸せだったと思う。」

「うん・・・。」
なくなってしまった記憶を呼び戻すように、少しずつ話を進める。


それでもあたしの頭は反応しない。



思い出したくても・・・初めて聞く話にしか思えない。


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